認知症とは
認知症の公式な定義は、『後天的な脳の病気により正常に発達した知的機能が全般的かつ持続的に低下し日常生活に支障を生じた状態』となっています。
物忘れは誰でも経験することで、物忘れがあるだけで認知症と診断されるわけではありません。会った人を忘れた、朝食に何を食べたかを忘れたといった状態は物忘れですが、認知症では人と会ったことそのものを、朝食を食べたこと自体をすっかり忘れてしまいます。このような記憶障害に、「人が誰であるか判断できない」「洋服がうまく着られない」といった認知障害が加わったものが、認知症と診断されます。脳卒中などの病気が原因で、記憶障害や認知障害が起きても、これは認知症とはいいません。
認知症の原因となる病気については、以下のようなものがあります。
①皮質性疾患
脳の神経細胞が、なんらかの原因によって壊れてしまう病気です。なぜ脳の神経細胞が壊れ始めるのかは、今のところ解明されていません。代表的な疾患として、アルツハイマー型認知症やピック病、びまん性レビー小体病、進行性核上性麻痺、パーキンソン病、ハンチントン病などがあります。
②脳血管性疾患
脳の血管がつまる(梗塞)ことによって脳の機能が低下する病気です。一箇所だけの梗塞では認知症はおこりにくく、小さい梗塞でも、脳のあちこちに多発すると、認知症がおこります。脳梗塞後の認知症やビンスワンガ-病が代表的な疾患です。
③脳代謝性疾患
内科的な疾患が臓器にあることにより、脳に悪影響を及ぼして知能低下を引き起こす病気です。肝臓障害で起こる肝性脳症、肺の病気で起こる低酸素脳症、腎不全で起こる尿毒症性脳症、ビタミン不足で起こるウェルニッケ脳症、甲状腺ホルモンが低下して起こる甲状腺機能低下症、などがあります。
④正常圧水頭症
脊髄液の循環経路の閉塞がないにもかかわらず、脳脊髄液が脳室内に過剰にたまってしまう病気が正常圧水頭症です。脳に悪影響を及ぼして、知能低下を招きます。原因がよくわからない場合もありますが、くも膜下出血の後遺症でも起こることがあります。
⑤頭蓋内新生物(脳腫瘍)
髄膜や脳の腫瘍によって認知症の症状がでる場合があります。
⑥慢性硬膜下血腫
頭部打撲により、頭蓋骨と脳の間にある静脈が切れ、脳内で出血した血の塊が、脳を圧迫する病気です。アルコール多飲者に多いといわれていて、本人も忘れているほどの軽い打撲でも、3か月ぐらいたったのちに認知症の症状がおこる場合があります。
⑦感染性疾患
脳梅毒やウィルス性脳炎の後遺症、エイズ、クロイツフェルドヤコブ病なども認知症の原因となることがあります。
⑧薬物
多量の精神安定剤の投与や、降圧剤で過度に血圧を下げすぎた場合、糖尿病の治療薬で低血糖になっている場合にも、認知症の症状が出る場合があります。
⑨ビタミン欠乏症
ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸などのビタミン欠乏により、認知症が発症する場合もあります。
⑩低酸素血症
心不全、呼吸不全、重度の貧血などの低酸素血症で、認知症の症状が出る場合もあります。
⑪電解質異常
血液中の電解質のバランスが崩れて認知症の症状でる場合があります。