認知症のケア
認知症患者の介護にあたって、求められる基本的な姿勢は、まず同じ人として接するということです。認知症という病気になっても、人格と尊厳を持った人間であることを忘れてはいけません。いつか自分が介護してもらう側になったときに、何をしてもらうと嬉しいかということを考えて、相手の立場を考えた介護をすることです。そして、発症前までの患者の生活を尊重することも大事になります。ほんの些細な環境の変化にも混乱してしまうことがあるからです。そして、介護者自身の限界を知ることも必要です。認知症の介護は、精神的、身体的にさまざまな負担を伴い、共倒れになってしまってはどうしようもありません。ひとりで抱え込まずに、他者の力を借りるようにすることです。
【日常生活における具体的なケア】
●身だしなみ
着替えは多少時間がかかっても、自分でできるように、着る順番に一枚づつ重ねる、ボタンやファスナーのかわりにマジックテープを付けるなどの工夫をします。身なりに気を使うことは精神的なハリになるので、頭髪やヒゲなどな毎日整えてあげるようにします。
●食事
食べ物はやわらかく調理して、適温にしておきます。食べるのに時間がかかってもせかさずに、ゆっくり食事を楽しめるようにします。何度もおかわりを要求するときは、お茶碗を小さめにしておかわりをさせてあげて、気持ちを満たしてあげるようにします。
●トイレ
トイレや廊下の照明を明るくしたりして、自分でトイレに行けるような工夫をします。トイレのカギは、何か起こったときに助けられるよう、外側からも開けられるようにしておきます。日中は排泄のタイミングを見計らって、トイレに行くことを促します。
●入浴
一人でも入浴できる患者でも、事故を避けるためにも介助者がそばにいるほうが安心です。冬場は前もって浴室や脱衣所を温めておき、温度が急変しないように注意します。石鹸をつけたタオルを手渡して、自分で洗えるところは洗ってもらい、手の届かないところを洗ってあげるようにします。
●歩行
怖いのは転んでケガをして寝たきりになって症状がますます進行してしまうことです。転んでケガをしないよう、敷居の高さや、階段や廊下は滑りやすくないかなどをチェックします。そして、ひとりで勝手に外出をすることがないように、戸締りにも気をつけておきます。徘徊感知器を設置しておくと、患者の動きを感知して家族や隣人に通報されるので、安心できます。